少女

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━━━━━━━━━━ 「あ~、疲れた……」 階段を上る足取りが重い。 今日は朝から大学で授業で、それが終わったのは4時。 その後俺の住むアパートの近所にあるスーパーに行ってバイト。 それが終わったのが9時45分。 現在時刻は10時3分。 どうやら今日も寝るのは日付が変わってからになりそうだ。 ただ、明日は土曜日。 早起きをする必要が無いということだけが唯一の救いだ。 「にしても寒いな……」 吐く息は白く、手袋を着けているにも関わらず手の先の感覚が殆ど無い。 1月の大寒の日に相応しい寒さだ。 「はあ~、やっと着いた……」 ダンベルでも入っているんじゃないかと思うほど重く感じられるスーパーの袋を足元に下ろし、リュックの中からキーホルダーの付いた部屋のカギを取り出す。 ちなみに、ここのアパートのセキュリティはお世辞にもいいとは言い難い。 ピッキングの技術がある人なら1分も掛からずに開錠できるだろう。 人に盗まれたら一大事の『ブツ』がある俺にとってはかなり重要な問題だ。 まあ、この部屋にそんな物目当てで侵入する人などそうそういないだろうが。 そんなことを考えながらカギをカギ穴に差し込み、左にまわ……らない。
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