ノリは材料足り得ない

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 というか、一応多少の変化はあるんだな。  怒った原因は期待していないと言ったからか?  ……ふむ。 「マカロンも作るが、付けるジャムは何がいい?」 「イチゴ」  即答かつキリッと顔で言われた。  機嫌も回復したらしい、普段の様子と比べたら僅かな差しか無いがウキウキしているように見える。  よし、この流れでパッパと教えてしまおう。  材料、道具の説明を手早くし終え、再度エプロンを持ってキッチンに入っていく。  ふぅ、一つ作る物が増えたな……まぁ昔ならいざしらず、今なら片手間でもいい出来なのが作れるがな。  さて今日の味付けは甘めに行こう。昨日の時点で悟ったが、どうやら魔王は皆甘党寄りらしい。  他の見知らぬ魔王達もそうだったら面白いんだが。 「ふむ、もう少しで終了っと。念話するか」  独り言と共にキッチンに並べた料理を眺めながらギルドカードを異空間から取り出し、魔力を流す。  そうだな、先ずはソラだ。 『ソラ、そろそろメシ出来るからリオさんと一緒に来い』 『あ、うん。ちょっと待ってて、今掃討してるから』 『分かった、ちゃんと片付けてこいよ』  繋げた瞬間特に問題なく終わったソラとの念話を切り、次はタイガに……ん? 掃討? アイツ今何をやっているんだ?  なんちゃら無双でもやっているのか? ゲーム類は一応創って渡したから、していてもおかしくないが……まぁいいか。  バーチャルGでもリアルGでもなんでも掃討してくればいい。  よし、次はタイガだな。 『タイガ、メシだ。ガウさん連れて一緒に――』 『ダイチィイイイ!! 助けに来てくれぇええええ!!』  言い切る前に突然脳内に響くあの野郎の叫び。  一体コイツは何をやっているのか。少々気になる所だが、 『少しくらいなら待てるからとっとと来いよ』 『あれぇええ!? 助け、オレ助け呼んでますよぉおおお!?』  スルーした? いえいえ、別にそういうわけではありませんよ?  ただ脳内にいきなり大声が響いたのがちょっとイラッと来た、とかじゃありませんよ?  どうせガウさんに襲わゴホッゴホッ、ガウさんに遊ばれているだけだろうから、思う存分好きにされろ!! じゃなかった、ゆっくり来ればいいでしょう、はい。
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