2632人が本棚に入れています
本棚に追加
/546ページ
「……まぁそうかもしれないが……何故余がこんなどうなるかも分からない場所に来なければならなかった?」
今にもため息を出しそうなリオが、心中でひとりボケツッコミをしていたおれに質問をしてくる。
全く、そんなの分かりきっている答えしかないじゃないか。
「もちろん死なば諸共ってやつだよ♪」
「ソラ!?」
何故かとても驚いていると言う風におれの名前を呼ぶリオ。
あれ、なんかおかしいこと言ったかな?
あ、あれか。言葉の意味が分からなかったってやつかな。
「えっとね、死なば諸共って言葉の意味はね」
「別に余は意味が分からなくて驚いたわけじゃないぞ!?」
どうやらおれの予想は違ったらしく、リオから素早くツッコミを受ける。
? じゃあ一体何に驚いたんだろ……あ、驚くなら言葉が分からなかったってのはおかしいか。
驚く、驚くというと……思いも寄らなかったことを言われたとかいう時に驚くから……ん~?
「別に死なば諸共は普通なことだしなぁ」
「いやそれは少々末期な者達の考えが及ぶ領域だと思うのだが?」
「え? もしタイマンで死にそうになったら普通相打ち狙うよね?」
「……ソラよ、もしやとは思っていたのだが、まさかダイチらから要らぬ影響を受けすぎていないだろうか?」
「何言ってるの、ダイチやタイガが教えてくれたことは皆大事なことだよ!!
媚びへつらってくる相手はどうせ形勢を見て裏切ったりする場合が多いから利用出来るだけ利用してやれ、とかはその代表だしね!!」
「満面の無邪気な笑みでなんということを口走るハイブリッドを育成しようとしているのだあの二人!!」
本気で驚きを隠せないという樣子で声を荒げる魔王様。
どうしたんだろうね、そんなキャラじゃなかったはずなのに。よっぽど驚くことがあったのかな。
「まぁとりあえず中に入ろうよ、これじゃ話が進まないし部屋に入らずに帰りましたなんて言ったらダイチのご飯がお預けになっちゃうよ」
「何をしている、早く入るぞソラ」
リオは先ほどまでの狼狽がまるで幻だったかのように凛とした声でそう言う。
うん、まぁ別にいいんだけど、リオもばっちり餌付けされたね? すっかりおれ達に馴染んだらしくてとても嬉しいよ、うん。
さて、そろそろ冗談もほどほどにして部屋に入ってみないと、おれ達の分の洗濯をしてくれるって取ひ……約束のダイチに悪いもんね。
最初のコメントを投稿しよう!