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「は、はい!! で、では廊下で立ち話もなんだと思いますから、こちらでお話で、も……ドーラさん」
明らかに統率会室に導かれそうな感じで話を進められ、おれが「え、座れそうな椅子が全部ひしゃげちゃってるんだけど? 後猫首普通に邪魔だけど」と言おうとしたら誰かの名前を会長さんが呼ぶ。
「んん? ああはいはい、そらきた」
そしてその呼びかけに反応した涎ダラダラ読書中の子が軽く返事をすると。
ゆっくりとした動作で丁寧に本を閉じ。
その本をまるで赤子を扱うように優しく持ちながら近くの本棚に入れ。
それら一連の動作の100倍速で巨猫首を蹴り飛ばして壁を破壊、外に出し。
さらにその10倍速で下敷きも外に蹴り飛ばした。
「……うん」
そして、とても風通しが良くなった部屋を軽く見渡した彼女は、満足そうに振り上げた足をゆっくりと下ろし。
「死ぬといいな」
まるで親からの誕生日プレゼントを期待している子供のような笑顔を浮かべて危ないことを呟いた。
うん、色々ツッコミどころ満載で申し分ないね。
とりあえず今の速さはすごいね、大事なものがどれなのかはっきりと分かる感じだったよ。
後、きちんと涎を拭いていたら完璧だったかな。
「はい、ある程度綺麗になりましたからちょっと待っていて下さいね?」
そして会長さんは壁が壊されたことも会員二人がこの学園の最上階にあるこの部屋から落ちたことも一切気にしないんだね。
そのとても嬉しそうな上に楽しそうな笑顔で会室に戻っていく姿がとても泣けてきそうだよ。
「……ソラよ、今から余は黙っていていいか?」
様相はほとんど変わっていなかったものの、顔を向けてみるととても不安がっているように見えるリオ。
おそらく今にもツッコミを入れたくて仕方がないけれど、入れていたらとても大変そうだから全部無視していいかって言いたいのかな?
……うん、そうだね……。
『ダ・メ♪』
とりあえず、おれは笑顔で口だけ動かしてその質問を却下した。
そして、言葉にせずとも口の動きだけできっちり理解したのか、ほんの少し肩を落として若干不満そうに唇を尖らせた様がちょっと可愛くて、思わず心の底から微笑んでしまった。
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