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「藤波さん、おはようございます」
今日で最後ですね、とまるで明日退職する人に言うかのように話す古田くん。拍子抜けした俺は、何が悲しくて出勤なんだ、と悪態をついた。
本日のシフトを一応確認してみる。フロア担当は、店長の古田くん。厨房は俺、藤波 空。本日の営業は二人。普段なら無理だろ、と突っ込むところだが、世界の終わりとかいうやつの影響で、食材の配送は数日前に止まっている。出せるものは限られているので、調理自体は問題ない。
不思議なもので、ライフラインは動いているため調理はできる。手書きでメニューを作成し、その日だせるものを、可能な限りだすというのが本社の意向だ。
「藤波さん、昨日ヤマ(品切や売 切)になったのってなんだっけ?」
「葉っぱ系は昨日ヤマになったな。油あるから、唐揚げとか出せるし、生地はあるからピザも出せる。あーでもブロッコリー切れたっけな」
「まぁ、出せれば良いか。とりあえず開店準備頼みました。俺はドリンカーあけてくる」
お互い開店準備に入り、いつ来店があっても良いように待つ。残っている食材からメニューを考え、お客様からの要望があれば、出来る限り作成する。厨房経験を積んだ結果がこれだ。
「とりあえず、出せるのはこんなものか。案外多いな」
冷凍状態にあったものをすべて取りだし、解凍しながら別の作業をする。
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