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「名前はなんというのだ?」
「幸松、茂三」
俺は地球で生きていた頃の名前をドラゴンに伝えた。正直、新しい人生をもらっているのだから名前も一新すれば良いのに。でも、名前がスッと浮かばないから今はこれで、保留にしとこう。
「こうまつしげぞう?長い名前だな。だからシゲって呼ばせてもらおう」
「シゲ……茂、そうかそうするか。俺の名前は茂だ。これからドラグーンの里でお世話になります」
俺はドラゴンから略されたシゲという名前をこの世界での名前にしようと思った。改めて自己紹介をし直して一歩、前に出た。
「あっははは。気にすんな!なら、俺も名前を教えておこうか。ラグナだぜ!敬語使わなくて良いと言うのに堅苦しい奴だな」
「すんません。そのうち敬語も使わなくなると思うから、それまでだから!」
「緊張するな、焦らなくても良いぞ。ゆっくり慣れていけばいいんだ」
好奇心で笑っていたそれもまた固まり挙動不審な様子に優しく声をかけてくれたドラゴンのラグナ。ラグナは振り返るように背を向けると尻尾をゆっくりと俺の足元まで伸ばしてきた。
「背中に乗れ。茂」
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