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聖貨が扉を開けたさきにいた人物に少し息を飲んでしまう
青銅色一色に染められた全身、張り付いたまま本物よりも重々しそうに背負われた薪、そして手元に用意された本……
なるほど…見たことはあるけど向こうは知らないと言う意味がようやく分かった
私は納得のあまり驚くやら安心するやらな様々な感情が入り交じりふっと口元が緩んでしまう
聖葉は彼を見て準備をはじめ、聖貨は彼を私の2つほどとなりのカウンターに座らせる
彼は椅子に座ると薪を床に、本をカウンターの上に奥と軽く肩を回す。時おりゴリッというような石臼同士が擦れあうような音を響かせている。
「お疲れ様です、お客様。何をご用意いたしましょうか?」
聖葉はそういいながらも手元にはしっかりとシェーカーやグリーンリキュールが用意されている
「いつも通り聖葉さんにお任せいたします」
彼はそれを見て苦笑しながら、はっきりと通るような少しキーが高めの声でそう告げる。おしぼりにたいしても小さな声で失礼いたします、と述べながら手と髷の辺りを拭きはじめた
椅子が拭くたびに小さくミシミシと音をたてて揺れ、聖葉のシェーカーの音と小気味いいハーモニーを奏でている
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