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隣町の独花市(どっかし)。
くだらない営業の仕事を頼まれてしまったためにここまで来たものの、相手側の理解力のなさと不手際のせいでこんな遅くまで時間になってしまった。今日は仕事は終わりだし一人さびしく家に帰るか…いや、明日は休日だしどこかによって帰るのもいいか…。そう考えながら近くにあった公園のベンチでタバコをぼんやりとふかしていた
「ずいぶん大変みたいだね…」
ふと気がつくと私の隣には女性がいた。黒を基調としたメイド服に金髪のツインテ、そして両手にはそれなりの荷物で膨らんだビニール袋がある。両目ともに日本人らしくない青というより蒼のような瞳が備わっているところからたぶん北欧系なのか…?となるとこの金髪も天然物なのかもしれない。…がこの見た目と初対面に対してのそのなれなれしい反応にいぶかしい表情を相手に、はからずも向けてしまう
「ひどい表情ね…あなたにオススメのお店があるんだけど…来てみない?」
なるほど…当然といえば当然かもしれない。店の勧誘のようだ。いかがわしいものであろうがなかろうがかなりいい予感はしない…どうせ法外な値段などをふっかけてくるに違いない。顔をしっかりと向けることなく興味ないという表情で、金がないから客引きならよそでやってくれ、と手をふって追い払おうとした。すると少し残念な表情をしながらもポケットから名刺大の広告を渡してきた
「まぁ別にいいけど…うちはむしろお金はとらないで飲める店でもあるんだからね。興味があったら来てみたら?じゃ♪」
女性は少し不機嫌そうな表情を浮かべながらもベンチから立ち上がると、そのまま闇色に染まった町並みに消えていってしまった。
広告をみると”BAR-RetroSpection-”とかかれている真下に中くらいの字で「古をお求めの貴方へ…」と書かれている。古…いにしえ…?骨董品でもおかれているのだろうか…それとも一昔前のバーをイメージしたものなのだろうか……
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