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私はなんとなくその場所への興味がわいてきたためにバーとは不釣合いな昔ながらの商店街のアーケードを通り抜けていく。駅をはさんで反対側には小さいながらも繁華街があるにもかかわらず、何故かこちら側にあるようだ。店の経営などで問題が生じたことはないのだろうか…
チカチカと街灯がちらついていてほとんどの店のシャッターが閉まっているようなかなり不気味な場所を歩く物好きはいないようで、私とゴミ箱をあさりにきた野良猫以外ここを歩くものはいないようだ
しばらく地図に従って道を歩いてたどりついたそこは、かなり古びた雑居ビルで決して人が集まりそうな場所ではなく、店をやるとしても不向きといわざるを得ない。そのうえ看板らしい看板は店の入り口の前にくるまでなく、地図があるのにしばらく店の前で困惑してしまった。
ここなのだろうか?狐や狸に化かされたような気持ちになりながらも辺りを少し見渡してみることにした
扉はまさに時代を感じさせる古い樹木製。煤けた茶色がどこか昔の喫茶店を彷彿とさせるものであった。そこに取り付けられている小窓から中を覗いてみると意外にもそこそこの人数がいるようだ。動き回っている影よりも座っている影の方が多いのだからきっとこれで盛況なんだろう…
私はついに意を決してトビラを開けて中に入ることにした
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