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カランカランとドアベルの乾いた小気味いい音がジャジーな音楽が流れている店内に響く。私の入店に、店内の従業員よりも客が私の顔をチラチラと見て様子をうかがいながら何かしらを小さな声で会話をしている
店内はバーらしくカウンターの向かいの棚には酒瓶がきっちりと並べられており、はっきりとは数は分からないが優に100は越えている。薄暗い店内には生け花や掛け軸といったものから、赤ポスト、揺り椅子など様々なレトロなアイテムが置かれてどこか懐かしさと同時に妖しさを醸し出している
この店全体から漂う異様な空気に少し気圧されていると、店の奥から先ほど会ったメイド服の少女が出てきた
「あ、結局来たんだ♪カウンターへどうぞ」
私の顔を見るなり、あぁと小さく息を漏らしながら手を前に出して、誰もいないカウンター席へと通される
「改めましていらっしゃい。私は心音聖貨。まぁこの店のウェイトレス兼買い出し担当って感じ」
聖貨と名乗るメイド少女はペコリと頭を下げながら自己紹介をして、笑顔でそう名乗るとどこかから卓上ベルの音がなる
「おっと…自己紹介だけで終わっちゃったね。ま、あとは姉さんの仕事だし私は他の仕事があるからまたね」
聖貨は音に気付くと、はーいと明るい口調で答えるとそのまま薄暗い店の中へと消えていった
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