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「少々強いお酒ですのでお飲みになるかは、お任せいたします。当店について説明するに必要不可欠なものなのでご理解ください」
聖葉はシェーカーを止め、ゆっくりと強いライムの香りを漂わせながらグラスに注ぎ込み、さらにシャンパンをくわえて満たして、アラザンをさっとくわえていく。
緑がかった藍色のカクテルの中にゆっくりと沈んでいくアラザンは、妖しげに銀白色をちらつかせている。カクテルから微量に生じていた泡とアラザンのコントラストがまた美しい
「こちら、ミステリーナイトでございます。名前の通りな怪しさの含まれた色と、そこからはあまり予想しがたい風味の良さが売りでございます」
思わず見とれていたからだろうか、指でグラスを小さく前に押して見やすい位置に移動させてから、聖葉は淡々と解説していく
話を聞くとよりライムの香りが私を誘うように感じれて、私は無意識でゆっくりとグラスに手を伸ばし口をつけてしまっていた
「いかがでしょうか」
グラスから口を離した瞬間に、少し口元を緩ませた聖葉が首をかしげて尋ねてきた。私はバツの悪そうな表情をしながら、美味しいです…と答えるしかできなかった……
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