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「今のところはこのくらいにいたしましょうか。何か質問などありますか?あ、お飲み物ご用意しますので何でもお申し付けください」
数分に続く説明を受けてから聖葉はようやく質問させてくれた。新規の飲み物は断り、ミステリーナイトに口をつけながら気になる点をすべてきいてみることにした
「なるほど。こちらのカウンターは私達とお客様が話をする場所です。一方的知り合いと申しましたのは文字通り、貴方は知っておりますがそのお客様は貴方を知らない、いわば芸能人のようなお方がいらっしゃいます。」
芸能人という言葉にはさすがに驚いた。サイン等がどこにも飾られていないのに芸能人が来たなど……そう思って周囲を見回してみるもやはり見当たらない
「みたいなもの、と申した通り芸能人ではありませんよ。有名人という意味では正解ではありますが」
私は徐々に訳がわからなくなってきた。聖葉はそれについて説明をしようかとしたところで、ドアベルがカランカランと鳴って誰かが入ってきた
「おや、調度よい方がいらっしゃいましたね。彼は先ほど申しました、特別なお客様の一人です。私はあちらのお客様とお話をしますので、まぁごゆっくりとお過ごしください」
聖葉は小さく頭を下げてから準備にうつりはじめた。私は一人残され、説明も曖昧な感じで切り上げられてしまっていたが、逆にその曖昧な感じが私の期待を高まらせていた
さて…ミステリーナイトを飲みながら、この不思議なバーを楽しんでみるか…
ふと呟いた言葉に、グラスの中の氷がカラカラと答えるように音が鳴った
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