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「失礼しまーす!」
「失礼します」
壱哉の大きな声について、体育館に足を踏み入れた。
あたしも壱哉も足元は体育館シューズ。
壱哉はバスケットシューズも持って来てるけど…
「あっ、遠野!えっとこちらが…?」
「1年の星野葵です。
今日は見学させて頂くためにお邪魔しました。よろしくお願いします」
目の前に立ったのは、汗を拭う姿も爽やかな男前。
こんな寒いのに、何だか体育館は熱気で溢れていた。
汗の匂いは気にならない。
なんせ、自分も陸上部で汗水垂らして走り込みなんてしていたからね。
二階の観覧席にギャラリーは賑やかだけど、ベンチに居るマネージャーは一人だけ。
ふーん……壱哉が言ってたのは事実だったんだ。
「あっ、良かったらマネのとこで話聞いてみたら?」
「はい、ありがとうございます」
「遠野は着替えてアップな」
フワッと笑った顔に、体の温度が一気に上昇した。
ベンチに向けて歩きながら、熱くなった頬を押さえた。
……なんで?
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