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春爛漫、春風に制服の裾がふわりと揺れる。
桜舞い散る入学式。
……では、無い。
「……春風ならぬ、北風?」
「確かに寒いな、桜も蕾だし」
せっかく楽しみにしていた制服も、生足が寒くてしゃがみ込みたいくらいだ。
異常気象?温暖化って話はどこいった?
「てか、なんであんたが居るのよ」
「なんでって、受かったから?」
隣に立つでかい男を見上げた。
でかいと言っても横にでは無い。
小さい頃はちっこくて可愛かったくせに、今やあたしの旋毛を見下ろすその高さが憎い。
引き締まった筋肉質な体は、飛び抜けてバネがいいのが自慢だそうだ。
なんで、そんな事を知ってるかって?
そりゃあ……幼馴染みだもんね。
しかも家は隣。
「さて、帰るか」
「なんで、あんたと帰んなきゃいけないのよ」
「それは……あれだ。あの馬鹿親のせいだな」
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