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えぇ、馬鹿親ですとも!
親馬鹿じゃ無いからね?
あたしの両親と、壱哉(いちや)の両親はとっても仲が良い。
まぁ、それ自体には大して問題無いんだけど……
「せっかくの入学式なのになぁ。
なんで俺ら留守番な訳?」
「あたしが知りたいわよ!」
そう、町内会の福引きで見事当てた温泉旅行。
それの期限が切れそうな為、うちの馬鹿親は娘の入学式ほったらかしで旅行に行ってしまった。
そして温泉旅行を当てた訳でもないのに、ダブルデートとか言って遠野夫妻も着いていっちゃったんだよね。
そして、酷いことにこの馬鹿のごはん作りを押し付けられてしまったんだ。
入学式の日にお祝いどころか、自炊しなきゃいけないなんて……
「なんで、あんたのご飯まで作んなきゃいけないのよ!」
「まぁ、それは葵が料理上手いからだろうな」
「……誉めても何も出ないわよ」
「誉めてねぇよ。事実を言っただけだ」
………あっそ。
「じゃあ、今日のごはんは人参たっぷりのカレーと、人参サラダで」
「……おい」
「いい加減に人参嫌い克服したら?」
こいつの弱点は熟知してますからね。
心底嫌そうな顔をしている壱哉を尻目に、さっさと帰路を急いだ。
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