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「でもさ、そしたらマネージャーも沢山居るんじゃない?」
「今は一人だけ」
「えぇっ!?一人?」
「先輩って言うか、顧問でコーチの先生目当てで入ってくるミーハーなのが多いんだと。んで、それをしごいたら皆辞めちまったらしい」
ミーハーって……
って言うか、そんなしごくような所、バスケのいろはも知らないあたしが勤まるのかな?
……それに、あたしが言ったのと大差ないけど顧問って……
「おじさんじゃないの?」
「いや、けっこう若いな」
ふ~ん……まぁ、そこまで年上には興味ないから関係ないけど。
「なぁ、マネージャーしてくれないか?お前が好みそうな女子の運動部、菫ヶ丘には無いしな」
そう、菫ヶ丘学園はこんな可愛い名前の癖に、やたらと男子率が高くて男子の運動部ばかり盛んな学校だ。
「なんで、あたしにマネージャーになって欲しい訳?」
「……キャプテンに、真面目に仕事しそうで『大人の男』に色目を使わない女の子を勧誘してこいって言われた」
「……なにそれ」
「俺、女友達なんていないからな。
葵しか思い浮かばなかった」
あたしは、女友達ですらないと?
まぁ、そうね幼馴染みだもんね。
何だか不愉快な気分になって、グラスに入った麦茶を一気に喉に流し込んだ。
なんで不愉快な気分になったか分からなくて、不愉快だわ。
「なぁ、駄目か?」
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