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◇
6歳の誕生日が訪れる1週間前に、両親は離婚した。
そのまま両親は、僕を迎えに来ることはなかった。
もともと、僕は物心つくかつかないか分からないころから、ばあちゃんと暮らしていた。
幼稚園に行くときも、ばあちゃんが手をつないで連れて行ってくれた。
「昨日ねー、パパとママとねー、シン君とねー、ファミレスに行ったのー」
「ふぁみれす?」
「ハンバーグとかね、グラタンとかね、あとプリンとか、いろいろ食べられるんだよ。ユウ君は行ったことないの?」
幼稚園で同じクラスの女の子に訊ねられ、僕は正直に「行ったことない」と言いたくなくてうつむいた。
グラタンもプリンも、めったに食べられない代物だった。
ハンバーグといえば、ばあちゃんがでこぼこした手で握ったバクダンみたいなアレだ。
食卓にはいつもばあちゃんと2人きりで、父と母がいた記憶なんてほとんど残っていない。
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