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よく見れば、周りのテーブルに座っているのは親子連ればかり。
親子で怒ったり、拗ねたり、笑ったり。
ふいに、僕たちの座っているテーブルのそばに、これまた僕と年の近い男の子が走ってきて、こてんと転んだ。
その子は僕を見上げて、歯を見せて笑った。
その笑顔の意味なんてわからなかったし、今もわからない。
だけど僕はあのとき、それ以上ハンバーグを口に運ぶ気になれなかった。
いつもは、僕がご飯を残そうとすると「ご飯は残したらだめだ。ご飯を頂くということはな、命を頂くということなんだ」とたしなめるばあちゃんが、このときだけは何も言わなかった。
ただ、
「ほら、悠理(ゆうり)、あんたの好きなプリンが残っているじゃないか」
と、デザートを指差して笑った。
その笑顔を見て、なぜだか涙が止まらなかったのを覚えている。
小さいころの僕は、声を上げずに泣くクセがあった。頬を真っ赤にして、ぎゅうっと唇を閉ざして泣くさまを見ては、何ともいえない気持ちになったもんだと、ばあちゃんに言われたことがある。
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