第7話 小橋悠理編①

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 彰人の僕に対する態度がはっきり変わったのは、クラス替えがあって2か月ほど経ったときのこと。  僕はクラスメイトの、とある女子に告白された。でも、興味がなかったからあっさり断った。  するとその女子は、翌日、クラスメイトたちがわいわい騒いでいる教室の真ん中で、僕に大きな声で訊ねてきたのだ。 「悠理君って、おばあちゃんと2人暮らしなんだよねえ?」  僕はそのとき、窓側の一番後ろの席にいた。  なぜ、ばあちゃんの話?  僕は顔を上げた。  するとその女子は、半笑を浮かべて言ったのだ。 「お父さんとお母さんに捨てられたの?」  教室の喧騒が止まった。  僕の呼吸も、一瞬止まった気がする。  さあっと心臓から熱が引いていくような感覚に陥った。  その女子のそばにいる女の子たちはクスクス笑っていた。他のクラスメイトたちは笑うに笑えないようで、みんな口を半分開いて固まっていた。  その数秒後、みんなさらに硬直することになった。
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