第1話

悠太と陸斗

陸斗が家に着くと、玄関に悠太の靴があった。
｢陸斗、おかえり。先に来て洗濯物入れておいたけど、大丈夫だった？｣
ダイニングルームから姿を現した悠太に、陸斗は靴を脱ぎながら顔だけを向けて返事した。
｢ただいま。大丈夫、ありがとう。あと、これ。｣
陸斗は、手に持っていた袋を悠太に渡すと、小さく欠伸をしながら母親の寝室に入っていった。
｢陸斗、これどうしたんだ？｣
悠太の問いかけには答えず、母親の様子を確認すると、陸斗は静かに部屋を出た。
｢陸、聞いてる？｣
｢あ、うん。それ友達から貰ったんだ。好きなの買っていいって言ったから。水飴は僕のだけど、アイスは悠太にあげる。｣
ダイニングルームに入ると、陸斗はキッチンに向かった。