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暗い。明らかに何か出てきそうな雰囲気だ。管理人は何故電気をつけないのだろう。
そんなことを考えていると、入り口のすぐ右側で蛍光灯の明かりがついた。管理人の窓口らしい。
────よかった。人はいるんだ。
スーツ姿の女性は安堵の息をついて窓口へ向かった。
窓口は小窓のガラスがスライド式になっており、物で散らかってはいるが中は6畳程の空間があった。
そして奥のほうで男が一人、こちらに背を向けて何やら作業をしている。男は淡い水色の繋ぎを着、頭にタオルを帽子のように被っていた。
「あの、すみません」
スーツ姿の女性は小窓を覗きこみながら声をかけた。
しかし、男は声が聞こえなかったのか作業を続けている。彼女がもう一度声をかけたが気づかない。
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