第1話 ボディーガード

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そして手招きするとアパートの奥へと歩き出す。 てっきり管理人室で話を聞いてもらえるのかと思ったが、そうではないらしい。 彼女は彼の後をついて行った。 アパートは円形なのでずっとカーブの廊下が続いていて終わりがなく、そしてやはり薄暗い。 「あの、明かりつけないんですか?」 雰囲気に不快感をいだきつづけてたまらず口を開いた。 「今なんか電気の配線にガタが来ててな、危ないから切ってる。業者呼んだから近々直る予定だ」 「はあ‥‥」 ────まあ、確かに古そうだしね 彼女は時々見かける小さな亀裂を見て納得した。 「そういえば管理人やってるんですか?ここの」 ふと疑問に思い聞いてみた。 「まあな」 「え、なんで?」 「‥‥単純に金がうまい具合に入らないから‥‥」 「ああぁ‥‥‥‥」
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