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わたしの反応に思ったよりも動揺が少ない事を安心してか、佐倉くんは続けて語り出す。
「俺なりにさ、星影レイミの事も調べてみたんだよ。
『どりんくば~』で俺が所属してるサークルに、『作家ゴッコ』って言うのがあってね。
管理人はじめ、サークルの主要メンバーは、みんな『どりんくば~』開設当初からの古株なんだ。
星影レイミとリアルタイムに過ごした彼らなら、何か知ってるはずだと思って、いろいろ聞いてみたんだよね」
佐倉くんは順を追って『作家ゴッコ』で得た情報をわたしに伝える。
【星影レイミ】は確かに存在し、『どりんくノベルズ』全盛期を支えた圧倒的人気の書き手だった。
彼女が虐めにより自殺したのも事実であり、それ以来『どりんくば~』では、トップページに受賞者の顔を公開しなくなった。
ここまでは、佐倉くんのブログに残るやり取りを裏付けるような話だ。
「ケータイ小説が世に浸透した全盛期には、それを批判する声も随分大きかったんだってさ。
今はもう“ケータイ小説とはそういうもの”って言う認識が定着したせいか、以前ほど荒れなくなったみたいだけどね。
小説の公表というシステムに夢を託した、いわゆる文学部肌の人達が、大勢ケータイ小説を見限って離れていったから──という意見もあったよ」
「本格的な小説を志す人達から見れば、ケータイ小説の書き方は納得いかないんだろうね。
人気作家が、今よりも叩かれる時代…か」
「でね……
それ以上の事は、誰も何も教えてくれないんだ…」
「……え?」
「【星影レイミ】のこと。
みんな口を揃えて、これ以上詮索するのは辞めろって言うばっかりでさ…」
明らかにそのサークルの人達は、何かを知ってると思った。
必死で振り払おうとしても、
どうしてもその“何か”に、現世離れしたニュアンスを感じざるを得ない。
─呪い─
─心霊─
─都市伝説─
まるでケータイ小説のホラー・オカルトカテゴリーに並ぶような単語が、次々とわたしの頭を通り抜けていく。
わたしたちは再び無言になった。
それぞれの共通する憶測を、口にするのを避けるようにして。
星影レイミのことは、これ以上詮索するな?
そりゃあわたしだって、そんなオカルトめいたことに首を突っ込むのはゴメンだ。
でもそれは、
紗耶の自殺の原因をうやむやにしておけ──
そう言われてるようでもあり、素直に納得もできなかった。
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