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「ご…ごめんなさい……
俺…梅田さんの気持ちも考えないで…」
みるみる歪んでいく佐倉くんの顔を慌ててあやしながら、
つい高ぶってしまった自分の感情をたしなめていた。
佐倉くんはわたしの身を案じて、そんなことを言ってくれた──それはわかってる。
霊の世界に迂闊に素人が立ち入るのは危険──それも充分わかってるつもり。
けれどもわたしには、やっぱり紗耶は、紗耶なんだ。
肉体があろうと無かろうと、わたしの大事な親友には違いないんだ。
【すぴん】が残した最後のコメント。
あれがもし、本当に紗耶の幽霊が残したものなのなら、
彼女はわたしに、何らかのメッセージを伝えたかったんだと思う。
せめてわたしがそれを、“解ってあげる”だけならば、そんなに危険な領域にまで踏み込むこともないんじゃないだろうか。
「佐倉くん、わたしも『作家ゴッコ』サークルに入る。
そしてもう一度わたしから、その人達に聞いてみる」
そのサークルの人達は、必ず何か紗耶の自殺を解き明かすためのヒントを握っている。
そう確信するわたしから決意の色を見てとってか、佐倉くんもそれ以上止めようとはしなかった。
管理人認証制でもないそのサークルに、入会するのなんてボタン1つだ。
見る限りそこは、会員数はそこそこに多いものの、今現在実質的に活動している人はごく僅かな様子。
長々と連なる過去スレッドを見れば、
かつてそこが、大いに賑わっていた経歴がうかがえる。
以前は定期的に短編小説のイベントをやったりしてたのに、
今はまれに雑談板が動く程度。
トップのサークル説明文には、管理人の【ジョー】さんが書いたと思われる文章が、勢い虚しく空回りしていた。
【携帯小説に新しい風をっ!!
あらゆるジャンルが脚光を浴び、
そしてあらゆる年齢層が楽しめる!!!!
そんな携帯小説の可能性をみんなで切り開いていく、携帯小説革命サークルですっ!!!!!!!!】
佐倉くんがポツリと教えてくれた。
「彼らは確かに、物書きとしての実力はそこそこにあった。
中にはプロ顔負けの書き手だっていたよ。
でも彼らは敗れたのさ。
星影レイミに。
そして、ケータイ小説という、新しい活字表現文化にね」
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