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402号室の住人、斑鳩メイ子である。
狭い通路で対峙した。
その距離、わずか五メートルである。
ガニガニ・9・ボーテは異様な気配を感じ取った。
「おぬし……ただ者ではないな? 何者だ?」
斑鳩メイ子の常人離れした雰囲気は、決してメイド服を着ているからではなかった。
「何者って言われましても……」
目をぱちくりさせて、ガニガニ・9・ボーテを見返す斑鳩メイ子は、ちょんと小首をかしげた。
ガニガニ・9・ボーテは身構えた。
「おぬし、できるな……。ひとつ、お手合わせ願おうか……」
「はい?」
斑鳩メイ子のとぼけた表情に変化はなかったが、次の瞬間、その姿がかき消えた――いや、視界の外に移動したのだ。
「なに?」
驚いたガニガニ・9・ボーテは、マンションの通路の手すりに、牛若丸よろしく飛び乗るとジャンプした。
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