ファースト・コンタクト

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 翌日――。  403号室に住むことになりました、豊臣秀吉です。  そう自己紹介すると、 「豊臣秀吉?」  101号室の管理人・種田イネはあからさまに不審な顔をすると、老眼鏡をずらしてガニガニ・9・ボーテを見返した。 「本名なの?」 「もちろん」  ガニガニ・9・ボーテは大きくうなずいた。 「正真正銘、本名です」  だが、肯定すればするほど怪しさが際立った。ルケルケ・7・トーのアドバイスできちんとしたスーツ姿なのだが、逆にインチキセールスマンのように見えてしまう。 「403号室というと、伊藤さんのお部屋ですよねえ?」 「はい、いっしょに住むんです」 「どういうご関係なの?」 「ルケルケ――いや、伊藤博文はおれの後輩です」
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