3人が本棚に入れています
本棚に追加
「テメェになんか渡さねぇ……青葉を渡してたまるかーッ!!」
「ぐっ!? いったいなんの話だ! 意味が分からないぞ。説明しろ!!」
「俺が青葉を護るんだァー!!」
リュウテイオーに向かって振るわれる殺意を持った凶刃。リュウテイオーはそれを腕で受け止め、逸らし、致命傷を避ける。
狂ったように刃を振るうリュウジンオーの背後で二つの気配が動いた。
「龍王様、後ろに……!?」
「バカな!?」
異変に気付いたのは龍介と巫女の二人のみ。
巫女の忠告が届かなかったリュウジンオーは背後からの衝撃に吹き飛された。
「う……いったい……」
衝撃で落ち着きを取り戻した龍司の目に異常な光景が入り込んだ。
リュウジンオーを襲ったのはさっきリュウジンオーが切った龍宮の遣いだった。
それだけならばまだ予想は出来る。リュウジンオーの詰めが甘かっただけの話だ。だが、目の前の光景はそれ以上の物だった。
切った龍宮の遣いが二体になっていた。
全く同じ姿。全く同じ大きさ。まるで分身をしたように全く同じ姿の龍宮の遣いがそこにいた。
「チィ、リュウジンオーがッ。スパイラルクラシャーッ!!」
龍介の声に合わせてリュウテイオーの腕の肘から先が回転しながら飛んでいく。
リュウテイオーが腕は二体の龍宮の遣いの体を貫いた。そして、その次の瞬間、龍宮の遣いの体が再生した。
「超速再生だとッ!?」
「死に損ないがァ!!」
龍神剣が一体の龍宮の遣いの胴を切り離す。
そして、龍宮の遣いの体は上半身と下半身、それぞれから再生し、三体へと増殖した。
「切れば分裂増殖と変わらないか……」
「龍王様、倒すにはあの方法しかございません!」
「ウルセェ! 俺から青葉を奪おうとするやつは、全部消えろーッ!!」
リュウジンオーの龍の口の中で赤い光が煌めく。炎が吐息のように漏れだし、力の高まりを確かにする。
「司令部、バスターフレアを使用するッ!」
龍介の宣言に、バスターホークの砲頭が龍宮の遣いを捉える。
エネルギーが高まり、砲頭から光が漏れ始める。
「バスター……」
「ハウリング……」
地を這うような二人の男の低音ヴォイスが響き--
「フレアァーッ!!」
リュウジンオーの龍の頭から業火のごときエネルギーの塊が、リュウテイオーの砲頭からは地を裂くような一撃が放たれた。
最初のコメントを投稿しよう!