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「どれどれ?お?大吉だ……」
『大吉~今日もHAPPY』
と書かれていて、クスッと笑ってしまう。
「ん?」
消しゴムを見ていたら、こちらを見ている真城さんに気付いた。
真城さんは僕を……いや、僕が手に持つ消しゴムを見ていた。
「あ……真城さんの?」
言葉には出さず口をパクパクさせて聞く。
真城さんがさっき声をあげたのは、この消しゴムを落としたからだったのだ。
「うん」
と。やはり言葉には出さず口をパクパクさせる真城さん。
「投げるよ?取れる?」
「OK」
お互い言葉にしない口パクで意思を通じさせる。
「はい」
僕が投げた消しゴムを真城さんは両手でキャッチした。
「ありがとう。おみくじなんだった?」
「……え?」
ニコッと小さい声で僕に聞いてくる……
「こらぁ!!真城!何後ろ向いてる!!」
「は、はい!スミマセン!消しゴム落としちゃって!」
先生に怒られて前を向いた真城さん……
「まったく……」
先生が黒板の方を向いたので、また真城さんがコチラを向いた。
「私はこれだ~」
ペロッと舌を出して笑った真城さんの手には『大凶~さっさと帰って寝ておけ~』のおみくじ消しゴムがあったのでした。
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