僕色に染まれ 第1話

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良太が新聞部に戻ると、写真部の部室は僕1人になる。 写真部は現在部員1人…… つまり僕だけ。 よって僕が部長な訳である。 「うん……こんなもんかな……」 黒のカーテンで仕切られた『暗室』と呼ばれる部屋で僕は写真の現像をする。 僕は別に新聞部のスクープだけを写真に撮ってる訳じゃない。 ちゃんと写真部部長らしく綺麗な景色を撮ったり、いろんな写真を撮ってるのだ。 「ん?」 いろんな写真の中に1枚…… ベッドに寝ている男の写真があった。 目が隠れるほど伸びている前髪…… 肩まであるボリュームある後ろ髪…… 僕だ…… 「姉ちゃんだな!勝手に人のカメラ使って!」 イタズラ好きな姉ちゃんが僕の寝顔を撮ったものだった。 「こんなみっともない写真、誰にも見せれないよ」 僕はつぶやくと学生服のポケットに写真を隠した。
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