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「女はな……キャンバスなんだよ」
「キャンバス?キャンバスって絵を描く時の?」
「そう真っ白な板。女は白いんだよ」
「女は白い?」
良太の迷言に首をかしげる。
言っている意味が解らないけど、なぜか次の言葉を聴きたくてしょうがない。
「ほら、よくいるだろ?彼氏が変わる度に服装やら髪形…はては趣味や聴いていた音楽まで変わる女……あれは彼氏の影響を受けてるんだ」
「ああ……僕の姉ちゃんだ…」
「え?そうなの?綾ちゃん彼氏で人間変わる人なの?」
意外そうな顔で僕の顔を見る良太。
綾ちゃんとは僕の姉ちゃんで、この学校の保健室で先生をやってる。
白衣を着てメガネ。髪を後ろで縛っており地味な姉ちゃんだが生徒からの人気は高く、皆から綾ちゃんと呼ばれている。
「姉ちゃんのことはどうでもいいよ……で?」
「あ、ああ……どこまで話したっけ?」
「彼氏で趣味が変わる女子!」
「そうそう……つまり女は白なんだよ。白いキャンバスを男は自分の色で塗っていく……女は男に染められてより良い女になって行く。つまり良い女ってヤツだ」
「……解るような…解らないような……」
「つまりだ。お前は女のコを好きになってリア充になりたい……と思ってるみたいだが、それは違う。お前が好きになるんじゃなく、女からお前を好きだって言わせなきゃダメだ。お前色に染めろ!村崎祐!!」
ドーン!!
まるで『笑うセールス○ン』の喪黒腹○のように僕を指差す。
「僕……色……?」
良太の言っている意味はまだよく解っていなかったけど、何か胸が熱くなってきたのは確かに感じていた。
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