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―ある薄暗い部屋―
「そうか、灼眼鬼の正体がわかったか…」
「はい」
2つの影が向かい合っている。
「それは確かめねばなるまいな。どういった人物かを…」
「はい」
「お前は、奴の昔からの知り合いじゃろう?何でも知っているのではないか?」
「そのつもりでございましたが…。今まで彼が灼眼鬼であることを隠し通されていたのです。腹の奥に何を隠しているのか、全く見当もつきませぬ」
「…これは、わし自ら出向く他ないのう」
「…」
「あやつにも協力させるか…出来れば会いたく無かったのじゃが」
「御意。手筈は整えておきまする」
「うむ、頼んだぞ」
2つの影は、かき消すように居なくなった。
そこには、厳めしい造りの振り子時計が時を刻む音だけが響いていた…。
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