2―1,兄妹の関係

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「う…ん……?」 俺、紅蓮はふと寝苦しさを感じ、目を開く。 普段は隠している真紅の瞳。 自分が、悪い意味で特別な存在であることを示すこの瞳も、あいつのお蔭で今は嫌いではない。 「…取り敢えず起きるか。……ん?なんか重いな」 布団を捲ってみる。 「寝苦しさの原因はこれか」 サラサラした栗色の髪、真っ白で艶々な肌、柔らかそうな、血色の良い頬、さくらんぼみたいな唇…。 ハッとする程の美幼女が、俺の上で熟睡していた。 おまけに涎なんか垂らしちゃって…あーあ。 「うーん…おにいちゃん……」 はあ。 これが我が妹、紅鈴。 寝顔は御覧の通りの愛らしさ。 『天使みたいな―』なんて形容の仕方があるが、外見だけなら天使をも超越していると言っても良いくらい可愛い。 仕草も相まって、学園での人気は1、2を争う程。 そりゃあ、可愛いんだけどさ。 …やっぱり16歳には見えないよね。 身長113センチ。 当然、その体に起伏は無く、ぺったんこ。 「初等部の女子達の方がよっぽど女っぽいよな」 本人曰く、「数年経てばボン・キュ・ボン」だとか。 言い出してから6年間、全く変化なし。 いい加減、諦めが肝心だと思う。 「まあ、いいけどさ」 呟きながら、そっと、鈴の頭を撫でてやると、 「ふにゅー」 とか言いながら、俺の胸に頬を擦りつけてきた。
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