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「それはそうとして、子守りの件はどうするの?」
仮にも自分の兄がボロボロになったというのに、相変わらず冷静なツクモお姉ちゃん。
「そうだな…引き受けるか否かは別として、顔合わせ位はしておきたいな。とはいえ、追っ手がついているんだよな…」
「そうだね。何者かに追われているっていうのは…」
「ああ、それはかなり…」
「めんどくさい」「面白そう!」
……。
「…あんたたち本当に似てないわよね」
「うっせぇ。取り敢えずどんな娘なのか教えろ。どうせそこに隠してんだろ?」
「あら、バレていたのね。しょうがないからご挨拶なさい、ウィンダちゃん」
「あ、はい…」
ウィンダ?
随分と変わった名前だな…。
そう思いながら声のする方を見てみると…
「えっと、ウィンダ・ブリーズと申します。その、んと、はぅぅ…」
腰まで届く輝く銀髪のストレート、淡雪さながらの透明な肌、幼いながらも整った顔立ち…。
儚い、気弱そうな雰囲気の美少女が居た。
「ほう、これは…」
けれど、一番特異なのは、芸術品みたいな美しさでも珍しい銀髪でも無く…
「…想像以上に面倒みたいだな」
彼女の、真紅の瞳だった。
鈴とおにいちゃんの日常が、静かに壊れ始めた瞬間だった。
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