第1章

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管理部長山田は、ふと入社当初の事を 思い出していた。 不安な気持ちで日々過ごしていた頃。 今で言う護のように頭が切れて 優秀だと期待されていた頃。 順調に出世を遂げ、 部長に昇進仕立ての頃。 山田もまた必死に走り続けて来たのだ。 だが、部長と言えど何かと重圧ばかり、 逃げ道もない。上からは責められ、 下からは嫌われる。 家庭では普段余り家にいないからと 邪険に扱われ、心の休まり処を どんどん奪われて行った。 最善の努力を惜しまなかった頃。 今の自分。 今まで通ってきた道筋で感じてきた 味わった思い。 今、部下達がどんな状況に置かれ どんな思いで仕事をしているのか。 様々な思考が浮かび上がる。 一人一人の立場や現状を考慮して その中で上手くまとめていくこと。 気持ち良く仕事の出来る環境。 互いの立場を尊重しあい、 一つの仕事と皆がしっかり 向き合うこと。 山田は目の覚めた思いだった。
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