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管理部長山田は、ふと入社当初の事を
思い出していた。
不安な気持ちで日々過ごしていた頃。
今で言う護のように頭が切れて
優秀だと期待されていた頃。
順調に出世を遂げ、
部長に昇進仕立ての頃。
山田もまた必死に走り続けて来たのだ。
だが、部長と言えど何かと重圧ばかり、
逃げ道もない。上からは責められ、
下からは嫌われる。
家庭では普段余り家にいないからと
邪険に扱われ、心の休まり処を
どんどん奪われて行った。
最善の努力を惜しまなかった頃。
今の自分。
今まで通ってきた道筋で感じてきた
味わった思い。
今、部下達がどんな状況に置かれ
どんな思いで仕事をしているのか。
様々な思考が浮かび上がる。
一人一人の立場や現状を考慮して
その中で上手くまとめていくこと。
気持ち良く仕事の出来る環境。
互いの立場を尊重しあい、
一つの仕事と皆がしっかり
向き合うこと。
山田は目の覚めた思いだった。
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