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「このテレビで観たが、っていうか、くだらない他人の話と料理しかやらねぇから時間の無駄だったが。
テレビの歴史講座で観たが、薩長の新政府から150年経っても時代は変わらねえな」
「歳、明治維新じゃあるまいし、そんな時代じゃないよ」
コトノが注意したが、
「いや、コトノ、歳三さんの言う通り、今の政治体制も変わらないよ。
今だに長州と呼ばれた地方から総理大臣が8人も輩出しているしね。
吉田松陰の松下村塾があったから、とか言うけど、それだけじゃないキナ臭い理由があるんだろうね。
それ以上は大人の事情でカットね」
アサコが指でハサミの形を作りチョッキンした。
「そうだな、蛤御門までは長州なぞは、この時代で言うテロリストで、京を焼いて帝を連れ去ろうとしたからな」
歳三は醒めた眼で言った。
「そういえば、歳三さんは龍眼だね」
アサコは歳三の眼を見ながら呟いた。
「龍眼?」
「人相学でいう、尊い存在になる相、指導者になれる相よ」
「丁稚奉公で行ってた江戸の易者にも言われたな……。
でも、俺はそんな大層な者じゃないよ、それは俺が一番識っている」
男の憂いを漂わせながら、歳三は遠い目をした。
こりゃ女にモテたという口述は本当だな、とアサコは思った。
陶器のように透き通るような白い肌。伊達でオールバックにした漆黒の長髪。憂いのある龍眼に煌めく瞳。女が放っとかない存在だ。
「それはそうと、どうも丸腰でいけねぇや。刀か銃はないか?」
「歳三さん、現代では銃刀法違反で捕まりますよ」
「なんだそりゃ?」
「廃刀令というのが出来まして、刀は許可証がないと持てないのです」
「ふむ、平和な時代になったもんだ」
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