第捌話「土方歳三 対 沖田総司」

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歳と裸の岩田ユウが抱き合っていた。 マスターとスレーブの誓いをしたのに。 それなのに歳は破廉恥に、しかも沖田総司のマスターと乳繰り合っていた。 コトノは嫉妬か憤慨か、本人も解らぬ衝動で泣きそうだったのだ。 「言わなくても、その顔に男で困ったと書いてあるぞ」 「そんな……」 「違うのか?」 「……。」 黙るコトノに、琴は薙刀の手入れをしながら訊ねた。 「コトノハ殿は、土方歳三が好きなのか?」 ズバリ訊いてきた。琴は何でも包み隠さず訊いてくる。 「わからないんです。 歳はわたしの先祖であるお琴さんの許嫁で、そのお琴さんの子供がわたしの先祖。 だから、歳はわたしの先祖なんです」 訴えかけるコトノに、琴は努めて平静に問うた。 「それが何だ? 要は男と女。好きか嫌いかのどちらかだ」 「そんな簡単なことじゃぁ」 「此の時代の人間は、どうも難しく考える癖があるな。 夫婦になれ、という意味じゃなく、好きか嫌いかが肝心なのだ。 本来マスターとスレーブとは、マスターの魂を分けてスレーブの身を成すものだ。 スレーブはマスターの分身なのだ。 その分身を好きにならずば、己を否定するも同じぞ」 琴が真っ直ぐな視線で、コトノの魂に問い掛けた。
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