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歳と裸の岩田ユウが抱き合っていた。
マスターとスレーブの誓いをしたのに。
それなのに歳は破廉恥に、しかも沖田総司のマスターと乳繰り合っていた。
コトノは嫉妬か憤慨か、本人も解らぬ衝動で泣きそうだったのだ。
「言わなくても、その顔に男で困ったと書いてあるぞ」
「そんな……」
「違うのか?」
「……。」
黙るコトノに、琴は薙刀の手入れをしながら訊ねた。
「コトノハ殿は、土方歳三が好きなのか?」
ズバリ訊いてきた。琴は何でも包み隠さず訊いてくる。
「わからないんです。
歳はわたしの先祖であるお琴さんの許嫁で、そのお琴さんの子供がわたしの先祖。
だから、歳はわたしの先祖なんです」
訴えかけるコトノに、琴は努めて平静に問うた。
「それが何だ? 要は男と女。好きか嫌いかのどちらかだ」
「そんな簡単なことじゃぁ」
「此の時代の人間は、どうも難しく考える癖があるな。
夫婦になれ、という意味じゃなく、好きか嫌いかが肝心なのだ。
本来マスターとスレーブとは、マスターの魂を分けてスレーブの身を成すものだ。
スレーブはマスターの分身なのだ。
その分身を好きにならずば、己を否定するも同じぞ」
琴が真っ直ぐな視線で、コトノの魂に問い掛けた。
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