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そうだ、琴さんの言う通りだ。
歳はあの時誓ってくれたではないか。
そしてわたしは、その誓いを受けたではないか。
マスターとスレーブの誓約の証、それを約束したではないのか。
「ありがとう、琴さん」
コトノは考え直し、琴に感謝した。
「礼には及ばぬ。
それに、我とコトノハ殿は恋敵であろう?
剣で負けた相手と我は、夫婦になると決めているのだ。
そんなコトノハ殿が迷っているようなら、我が土方殿を貰うがよろしいか?」
「だ、駄目です!」
「その意気だよ」
琴が笑ったので、コトノも可笑しくなった。
信長の言葉で揺れている歳三に、余計な気遣いをさせてしまった。
でも、ユウの裸を見た罰で、今夜は部屋に帰らないことにしたコトノだった。
次の朝──
コトノが部屋に戻ると、歳三が部屋の前で刀を抱えて眠っていた。
コトノの気配で起きた歳三は、コトノを見て安堵の溜息をついたが、
「お前は何処ほっつき歩いていたんだ!」
歳三にしては珍しく、顔を赤くして怒っている。
「琴さんの所」
「なっ」
「女同士で語り合ってました」
「なにっ」
「そちらこそ、お楽しみじゃなかったの?」
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