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「なんだとっ」
「冗談です。徹夜の見張りご苦労様でした。
でもマスターは、綺麗なお姉さんの所に居たけどね」
「いい根性してるじゃねえか」
そう言って歳三は、コトノの頭をくしゃくしゃと撫でた。
その微笑ましい光景を、廊下の隅で沖田総司がじっと見ていた。
「ちょっと用意してから行くから、歳は先に朝食に行って」
「わかった」
歳三が廊下を歩いて行くのを見届けたコトノは、部屋に入ろうとして沖田総司が廊下の隅に居るのに気が付いた。
「沖田……さん」
声を掛けるが、総司は返事をせずコトノをじっと見ている。
「どうしたんですか?」
「コトノさんは……土方さんのマスターですよね?」
やっと総司が口を開く。
「だからって、土方さんを歳と呼び捨てにするなんて……。
それが許されるのは近藤先生だけだったのに!?」
「あの……沖田さん」
「土方さんはこの時代に来て腑抜けになった!
昔の土方さんなら、あの信長を問答無用で斬っていたよ。
それが出来なければ僕に斬れと命令していたさ!
それもこれも貴女、コトノさんが悪いんだ!」
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