第捌話「土方歳三 対 沖田総司」

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道場に移動した歳三と総司。 それを見物せんと集まった取り巻きが、皆息を呑んで見守っている。 お互いに向き合い、歳三は憤怒で、総司は飄々と、お互いの間合いを挟んでいた。 その指は、お互い刀の濃い口に掛けて、いつでも抜刀出来る体勢である。 「本当にヤるのかい? いつから俺に喧嘩売るほど肝っ玉がでかくなったんだ?」 「イヤだな~、これでも試衛館の塾頭であり免許皆伝なんですから、勝てると思う勝負しかしませんよ」 「ほう、俺に喧嘩で勝てると、そんな殊勝な言葉どこで覚えた?」 「事実ですから。勝負で勝てると、今からそれを証明しましょうか?」 あくまでも、歳三は喧嘩、総司は勝負と言って憚らない。 総司がにじり寄り、ニコニコと歳三に屈託のない笑顔を見せた。 その間合いが近い。 「なんならコトノさんの命を掛けますか?」 その言葉で切れたのか、歳三が抜き打ちをしようと近い間合いを外そうとするが、 総司の歳三が刀を抜き去る前に、自分の刀の柄で歳三の脇下を打突した! 呻く歳三だが、後ろに飛び退き刀を抜こうとするが、その柄を握られ巻き込むように捻られ体勢を崩された。 「くぅっ」
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