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道場に移動した歳三と総司。
それを見物せんと集まった取り巻きが、皆息を呑んで見守っている。
お互いに向き合い、歳三は憤怒で、総司は飄々と、お互いの間合いを挟んでいた。
その指は、お互い刀の濃い口に掛けて、いつでも抜刀出来る体勢である。
「本当にヤるのかい? いつから俺に喧嘩売るほど肝っ玉がでかくなったんだ?」
「イヤだな~、これでも試衛館の塾頭であり免許皆伝なんですから、勝てると思う勝負しかしませんよ」
「ほう、俺に喧嘩で勝てると、そんな殊勝な言葉どこで覚えた?」
「事実ですから。勝負で勝てると、今からそれを証明しましょうか?」
あくまでも、歳三は喧嘩、総司は勝負と言って憚らない。
総司がにじり寄り、ニコニコと歳三に屈託のない笑顔を見せた。
その間合いが近い。
「なんならコトノさんの命を掛けますか?」
その言葉で切れたのか、歳三が抜き打ちをしようと近い間合いを外そうとするが、
総司の歳三が刀を抜き去る前に、自分の刀の柄で歳三の脇下を打突した!
呻く歳三だが、後ろに飛び退き刀を抜こうとするが、その柄を握られ巻き込むように捻られ体勢を崩された。
「くぅっ」
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