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「近藤さんが捕まっても、俺は一緒に死ぬ訳にはいかなかった。
大事な人との『約束』を破る訳にはいかなかったんだ。
俺が闘うことを辞めたら、俺が斬った敵や仲間に示しがつかねえ。
それに武士として切腹が許されず、斬首された近藤さんの名誉のため、俺は闘うことで汚名を晴らしたかった。
そして、俺が何のために生まれてきたのか。
俺の運命の征き着く果てに、何があるのか確かめたかったのさ」
滅多に内面を語らない歳三が、総司にてらいもなく心情を吐露した。
「……そうですか。これで気が晴れましたよ」
そう言う総司は言葉と裏腹に、剣気が鋭く研ぎ澄ませれていく。
「そうか、そいつは良かった。これで続きが楽しめるな、おいっ」
「子供みたいに、はしゃがないでくださいよ」
嬉々として刀を構える二人を見て、呆れ顔のコトノが、
「なんだか心配して損した。まるで戯れてるみたい」
「だから言ったろ、ほっとけと。ああやって相手を確かめる術しかないのが男さ。病気なんだよ」
琴がふふっんと、高い鼻を鳴らして言った。
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