第捌話「土方歳三 対 沖田総司」

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相手の突きを鎬で受け流して躱し、そのまま喉元に突きを見舞う攻防一体の技形が『無明剣(むみょうけん)』 総司の神速の『三段突き』も凄いが、其れに合わせて『無明剣』を使った歳三も凄い。 いや、そこまでの剣士を育てた天然理心流こそ、恐るべき剣法と謂うべきかー 突然、総司が剣を鞘に収めた。 「もう気が晴れました。甘いモノが切れたので、ここら辺でお開きにしません?」 歳三も虎徹を鞘に納める。 「俺も久しぶりに総司の『三段突き』が見れて嬉しかったぜ」 二人共気が晴れたように、清々しい表情になっている。 それは二人が共に学んだ試衛館時代に、懐かしく色褪せない時代に戻ったからだろう。 「やはり、僕は土方さんに付いて行きますよ。その方が面白そうだ」 「ああ、お前がいると心強いぜ」 ぐっと顔が引き締まる歳三と総司。 再び新選組のメンバーが手を組んだ瞬間だった。 「ケリが着いたようだね。 お前たちの剣気で、この老耄の血が滾ったぞ!」 二人の剣の遣り取りを観察していた大御所が声を掛けた。
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