第捌話「土方歳三 対 沖田総司」

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「ソレと塩気は体の毒だぜ、大御所様よ」 歳三が大御所をたしなめる。 「なんの。老い先短い老人の楽しみを奪うでないよ」 「心得た」 「この年になって、これ程の興奮があるとは、若返る気分さ」 「ふふっ、老いては益々壮んなるべし、だな?」 「違いないね」 大御所と歳三が笑いあった。 「それで、答えは出たのかい?」 大御所が訊ねた。 「ああ、近藤さんの、お琴の、そして死んでいった新選組の、会津藩の、函館の、そして薩長の者のために、あの信長に敵対するぜ!」 歳三が決意の言葉を叫んだ。 「俺と総司の二人だけだが、再び新選組の結成だぁ」 意気込む歳三に、琴が言葉を挟んだ。 「我は新徴組だが、土方殿と想いは同じ。 死んでいった新徴組の、庄内藩の者のために、我も共に闘おうぞ」 「では、琴さんも入れて三人だけど、幕末新撰組の結成ですね」 琴の言葉を受けて、総司がはしゃいで宣言した。 「よく言ったよ、この大御所も手を貸すぞ」 大御所も乗り気になって援助を申し出た。
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