第捌話「土方歳三 対 沖田総司」

21/21
前へ
/216ページ
次へ
「では、明日の評定に向けて乾杯でもしようか」 「ちょっとお祖母様、朝からまた酒を飲むの!?」 大御所の乾杯宣言に、カグヤが水を差す。 「まぁカグヤちゃん、この野蛮人たちは病気だから許してやって」 コトノの言葉にカグヤが笑った。 「こらマスター殿、良く言うじゃねえか」 歳三が憮然とコトノに言い掛かりをつけた。 岩田ユウにチョコを貰っている総司を見て、 「すまねえな、そういう訳で総司は斬れなかったぜ」 ユウに歳三が謝った。 「なあんだ、やっぱりユウに僕を殺してと頼まれていましたか」 総司がふくれる。 「いいです。こうなったら総司を糖尿病にしてジワジワと」 ユウが冗談とも本気ともつかないことを言った。 「そうしてくれ。この総司を剣で斬れる者はいねえよ」 歳三がそう言って、仲間を見渡した。 コトノを、アサコを、総司を、琴を、ユウを、カグヤを、大御所を見た。 (さあって、明日は織田信長と再び対峙する。俺たちの運命は何処に征くのか?) そう己に問いかけ、歳三は明日の評定に決意を固めた。 第玖話「決別」へ続く──
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加