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「では、明日の評定に向けて乾杯でもしようか」
「ちょっとお祖母様、朝からまた酒を飲むの!?」
大御所の乾杯宣言に、カグヤが水を差す。
「まぁカグヤちゃん、この野蛮人たちは病気だから許してやって」
コトノの言葉にカグヤが笑った。
「こらマスター殿、良く言うじゃねえか」
歳三が憮然とコトノに言い掛かりをつけた。
岩田ユウにチョコを貰っている総司を見て、
「すまねえな、そういう訳で総司は斬れなかったぜ」
ユウに歳三が謝った。
「なあんだ、やっぱりユウに僕を殺してと頼まれていましたか」
総司がふくれる。
「いいです。こうなったら総司を糖尿病にしてジワジワと」
ユウが冗談とも本気ともつかないことを言った。
「そうしてくれ。この総司を剣で斬れる者はいねえよ」
歳三がそう言って、仲間を見渡した。
コトノを、アサコを、総司を、琴を、ユウを、カグヤを、大御所を見た。
(さあって、明日は織田信長と再び対峙する。俺たちの運命は何処に征くのか?)
そう己に問いかけ、歳三は明日の評定に決意を固めた。
第玖話「決別」へ続く──
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