第玖話「決別」

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「マスター殿ぉ!」 琴が恐怖に駆られて絶叫した。 ヴラドの大剣が唸りを上げて、恐怖に引き攣るカグヤを襲ったー 「カグヤちゃん!」 ヴラドの大剣が宙空で静止していた。 コトノが身を挺してカグヤを庇ったからだ。 「むぅ」 ヴラドが低く唸り、コトノを見やる。 強い眼差しでヴラドを睨むコトノだが、 ヴラドの手刀が一閃して、コトノの延髄を〈とん〉と叩いた。 〈ぐらり〉と身体が崩れ、コトノは気を失った。 そのコトノを担ぎ上げ、ヴラドも後方へ飛び退いた。 ユウを刺した十兵衛と、コトノを担いだヴラドが、睥睨している織田信長の元へ戻る。 「信長ぁ、貴様ぁ!」 歳三に琴それに吐血する総司が、信長率いる『戦国魔人衆』を睨み付けた。 「これで判っただろう。 わしに逆らうことが、如何に愚かだということが」 「ゆるさねえ」 歳三が肉迫しようとするが、 ヴラドが担いでいるコトノの細首を握り、憤怒の表情の歳三を睨んで制止させた。 ヴラドの剛力なら、いとも簡単にコトノの首を折るだろう。
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