第玖話「決別」

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「いいか土方歳三、わしは貴様を気に入っているのだ。 維新政府に最後まで抵抗した貴様の心胆、其れがわしは是非にも欲しい」 「誰がぁ!」 「是非も無し、か。 いいだろう。明日になれば否が応でも、わしが世界を統べる魔王だと判るだろう。 それからでも遅くはない。わしの配下に着くことを考えるのは」 そう言って信長は、踵を返して歳三たちに背を向けた。 「コトノハ!」 身を捩るように叫んだ歳三の声が、突然の空気を引き裂くような激しい騒音で遮られた。 〈バタタタタッーー〉 上空からオリーブドラブとカーキグリーンに迷彩塗装された戦闘ヘリが降りて来たのだ。 アメリカ陸軍『UH-60L』通称ブラックホークをベースにした多目的戦闘ヘリ『UH-60JA』である。 機体の脇に張り出したスタブ・ウイングが独特な、見る者に潜在的な恐怖を抱かせる戦闘ヘリコプターだ。 空気を叩くブレードスラップの激しい音を響かせて、信長率いる『戦国魔人衆』の側に着陸した。 その機体の横には『陸上自衛隊』の文字が。
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