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土方歳三たちの襲撃を終え、ヴラドは隠れ家の自室に篭っていた。
部屋の白い壁をじっと見つめながら、ヴラドは深い思考の海を泳いでいた。
ヴラドは考え、想い出していた。
先刻の襲撃での出来事を。
カグヤという少女を殺害しようとした時、土方歳三のマスターである女が少女を庇った。
たしかコトノハという女だ。
そのコトノハを我は捕虜にした。
そのことで雇い主である織田信長から咎があると思ったが、意外にも信長はそれを赦した。
奇妙な男である。
信長という男と我の関係は、あくまでも雇い主と雇われる者。そういう関係だ。
主従の関係に非ず。
信長も君主。我も、かつて君主だった。
だからか、我には信長という男の孤独が判る。
そして、信長も我の孤独を容認してくれた。
であるなら、であるからこそ、我は信長に雇われる身と成った。
あの男の末路が見たいから。
コトノハという女。
我の大剣から少女を庇って、其の身を投げ出した女。
理解できぬ。
自らの命を投げ出し他人を護ることに、どれほどの意味があろうか。
それを愛と、人は呼ぶのか。
わからぬ。
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