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「歳三さんの愛刀「和泉守兼定」なら土方歳三資料館にありますが」
「何だい、そりゃ?」
「歳三さんの子孫の方が、日野で歳三さんの遺品などを公開しているのですよ」
「行ってみてぇ」歳三の眼が煌めいた。
「そうだね歳、行こうよ」コトノが同調する。
「ふむ、明日は日曜日だし、あたしもしばらくは仕事を気にしなくて良いから行きますか」
「仕事を気にしないって?」コトノが尋ねた。
「ああ、コトノには言ってなかったけど、あたし今日で仕事辞めてフリーのSDプログラマーになったんだよ」
「相変わらず思い立ったら即実行だね、アサコは」
「あたしは直感で動くタイプだからね」
「アサコ、早く日野に行きてぇ」歳三がゴネる。
「子供か!もう夜も遅いから資料館開いてません。それにその軍服では目立つから着替えないとね」
「じゃー、明日一番で服を買いに行こうよ、歳」
「またお前は、歳、歳と気安いんだよ」
はしゃぐコトノに、歳三が笑って一喝する。
酒が入っているとはいえ歳三は、こんなに打ち解ける男ではない。見る者によっては『高慢』と口述されている難物なのだ。
コトノと歳三のコンビは何故か気が合う仲らしい、とアサコは歳三を見ながら微笑んだ。
「アサコ、もう沢庵が無いぞ。買ってこい!」
「もう喰ったんかい!それも明日だ」アサコはぼやいた。
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