第肆話「沖田総司」

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服部半蔵正成── 通俗的には忍者として有名だが、あくまで徳川家に仕えた武士である。 服部家の当主は、代々『半蔵』の名を世襲している。 正成は服部半蔵家の二代目で、徳川家康の麾下で活躍、鬼半蔵の異名を取る。 なお、皇居(江戸城)の半蔵門は、この門を警護した服部半蔵正成・正就父子の名に由来するという説がある。 「近藤さんや土方さんに断わりもなく斬ってしまいましたが、しょうがないですよね?」 そう言って、総司は歳三の顔色を窺う。 歳三は困惑の表情をしたが、話を進めることにした。 「……それで、お前はどうして現代に居るんだ?」 「土方さん、岩田コウを覚えています?」 「コウ……、近藤さんの養女だった娘か!」 「当たり、です」 総司が天真爛漫な笑みで答えた。 岩田コウ── 公卿中山家の侍医・岩田文碩の娘。 近藤 勇の養女であり、近藤周平の許嫁であったが、沖田総司に出会い、恋に落ちた。 コウは沖田に恋慕を告白したが、沖田が断ったために、短刀で喉を刺して自害を図るが未遂に終わる。 自害を図った騒動で世間体を気にした近藤は、仕方なくコウを大阪の藤村家に嫁がせたという逸話がある。
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