第肆話「沖田総司」

7/14
前へ
/216ページ
次へ
その笑みを見たコトノとアサコは、言い知れぬ怖気を感じた。 「そういうことでしたら、たぶんあたしは偶然、歳を喚び出してしまったのだと思います」 コトノが総司に説明した。 総司はコトノが「歳」と言った時、何故かピクリと眼を開き、驚いていた。 「ふ~ん、不思議だね、マスターとスレーブの魂は強い引力で惹かれ合っている筈なのにさ」 総司は、歳三の癖である爪先から頭の天辺まで見る動作を真似て、コトノをゆっくり見た。 「まぁ良いや、でも此処を早く引き払った方がいいよ。 また黒幕からの刺客が来るからね。 此処の居場所は、もうバレているからさ」 「そういえば、どうしてココがわかったの?」 コトノが尋ねたが、 「SDマシーンから外部通信したログが残っていた・・・黒幕の一味はSDメーカーの中に居るのね?」 アサコが指摘した。 「ご明察、かな。私達もその一味から土方さんの居場所を掴んだのさ」 総司が、またチョコを頬張る。 「だから、このユウの隠れ家に早く来てくださいね」 総司がそう言うと、ユウが名刺を歳三に渡した。 総司とユウが玄関に向かう途中で、クルリと総司が振り返り囁いた。 「言い忘れましたが、マスターが死ぬと即座にスレーブが消滅します。 コトノさんが死ぬと土方さんが消える、そんなの嫌でしょう?」 総司が喜悦の笑みを浮かべた。 「それでは土方さん、とお二方、お待ちしていますね」 手を振り、総司とユウは部屋を出て行った。 大排気量のバイクの音がして、低い音を轟かして去って行った。
/216ページ

最初のコメントを投稿しよう!

119人が本棚に入れています
本棚に追加