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「なんかイメージと違うね、沖田総司って」
アサコの呟きに、コトノも頷く。
「あん、ヤツはあんな調子だぜ」
歳三が伝法に吐き捨てたが、心持ち不機嫌に見える。
「総司って、なんかこう優しい感じで笑顔が爽やかで、そして歳三と……いい仲だったり」
アサコが言い淀んだのは、歳三がギロリと睨んだからだ。
「いい仲!? どういう意味だ?」
「BL……だったり」
「BLってのは何だ?」
「男色というか衆道というかボーイズ・ラブみたいな……」
「阿呆か」
歳三は吐き捨てた。
「いやいや、この時代の乙女達は、歳三さんと総司の男の絆と愛に萌えているのですよ」
新選組ファンではないが、アサコは世の乙女を代表して言った。
「ねえよ」
新選組でも男色が流行った時があり、近藤の中島次郎兵衛に宛てた書簡にも「 局中しきりに男色流行仕り候」と嘆いているものがある。
歳三はそれを想い起こし、憮然と吐き捨てた。
「いいか、総司のヤツは今見た通り、掴み所のないヤツだ!
笑っている時はいいが、それ以外は短気に怒っているか、子供と遊んでいるか、甘味だぜ」
歳三がまくしたてた。余程衆道と言われたのが気に食わなかったのだろう。
「それにお前ぇらも感じたろ。
俺は時折、総司に狂気を感じるんだ。
だが新選組副長として、組の敵を斬るには好都合だ。
総司の狂気は”人を斬る道具”として、これ以上ないほど優れていたよ」
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